翻訳と辞書
Words near each other
・ ILLEGAL RARE
・ illegible
・ illegitimate
・ illegitimate child
・ illegitimate name
・ illegitimate recombination
・ illiac artery
・ ILLIAC I
・ ILLIAC II
・ ILLIAC III
・ ILLIAC IV
・ Illiciaceae
・ illicit
・ illicit cohabitation
・ illicit commerce
・ illicit diamond buying
・ illicit income
・ illicit intercourse
・ illicit liquor
・ illicit love


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

ILLIAC IV : ウィキペディア日本語版
ILLIAC IV[いりあっく ふぉー]

ILLIAC IV(イリアック・フォー)は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の一連の研究から生み出された最後のコンピュータである。パターソン&ヘネシーは本機を「間違いなく、スーパーコンピューター・プロジェクトの歴史上で最も不名誉なものであろう。」としている〔『コンピュータの構成と設計 第3版 別冊 歴史展望』p. 142〕。ILLIAC IV の設計の鍵は、256 プロセッサによる高い並列性で、後にSIMDと呼ばれる、同時に多数のデータセットを処理することを指向していた。マシンは十年の開発期間を経て1975年に完全に稼働した。
== 背景 ==
1960年代初頭、コンピュータの設計は収穫逓減の時期に差し掛かっていた。ハードウェアが直接実行する命令を増やせば性能が上がることは判っていたが、それにはコストがかかり過ぎるのである。実際、性能は電気信号の速度に限定されるため、ある速度を維持するには信号経路長が問題となり、ハードウェアを追加すると全体の速度は若干低下したのである。当時の先端技術であるトランジスタを使った論理回路設計では回路の増加はマシンのサイズの増加に直結していた。CPUの速度は安定期に達しつつあったのである。
1960年代、それらの問題を解決する手法がいくつか研究された。当時オーバーラップ(''overlap'')と呼ばれた命令パイプラインは、ひとつのCPUがいくつかの命令を同時に実行するものである。通常、CPUは命令をメモリからフェッチして、デコードして、実行し、結果をメモリに書き戻す。従来のCPUでは、たとえばデコードをしている最中にはCPUのその他の部分は全く働いていなかった。パイプラインはシーモア・クレイCDC 6600で初めて実現した限界を破る手法であった。そのマシンが登場したとき、他のマシンに対して約十倍の性能を発揮した。
別の解決方法は並列コンピューティングである。多数の汎用CPUを使ってコンピュータを構築する手法である。このタイプのコンピュータは各CPUが同時並行して動作して初めて効果を発揮する。そのためには処理を小さな部分に分割して並列に実行し、結果を集めて答えを出さなければならない。どんな問題でもこのような手法が使えるとは限らない。プログラムから並列性を引き出して並列実行することは現在でも問題として残っており、この並列コンピューティングという手法はCPUを追加しさえすれば性能が(理論的には無限に)向上するのが魅力である。汎用CPUは非常に高価であるため、超並列マシンは非常に高価になるか、単純な設計のCPUを使用してコストを抑えるのが通例である。
ウェスティングハウス・エレクトリックは後者の解決策を採用したSolomonプロジェクトを実施した。高性能を要求されているコンピュータは科学技術演算用途であることから、彼らはCPUの設計を数値演算の高速化に特化させた。"control unit" (CU)と呼ばれるひとつのメインCPUが命令の流れを処理し、単純な "processing element" (PE、現在で言うところの実行ユニット) を複数配置して、演算を並行して実行するようにした。各PEは同じ命令をそれぞれ異なるデータに対して実行する。今日ではSIMDとして知られている手法である。全体はCUが制御するマスタークロックにしたがって動作する。アメリカ空軍ローム研究所(RADC)との契約により、ブレッドボードを使ったプロトタイプが 1964 年に製作されたが、RADCとの契約期間が終了するとウェスティングハウスは研究を打ち切った。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ILLIAC IV」の詳細全文を読む




スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.